健康保険料が下がる?2026年度 協会けんぽの最新動向
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
2026年度から、協会けんぽ(全国健康保険協会)の健康保険料率が引き下げられる方向で調整が進んでいる、というニュースが報じられました。
協会けんぽは、中小企業に勤める従業員やその家族など、約4,000万人が加入する日本最大の医療保険制度です。
現在の平均保険料率は「10.0%」ですが、これを「9.9%」に引き下げる案が検討されています。
わずかな数字の違いに見えるかもしれませんが、平均保険料率が下がるのは実に34年ぶりで、非常に珍しい動きです。
今回はこの「健康保険料率の引下げ」についてお話ししたいと思います。
なぜ保険料が下がるの?
これまで社会保険料は「毎年上がるもの」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
今回、引き下げが検討されている背景には、次のような理由があります。
近年、企業の賃上げが進み、従業員の給与水準が上昇しました。
健康保険料は給与をもとに計算されるため、協会けんぽに入る保険料収入が増え、財政状況が改善したのです。
その結果、「今のうちに現役世代の負担を少しでも軽くしよう」という判断につながっています。
会社・従業員にはどんな影響がある?
健康保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担しています。そのため、保険料率が下がると、
- 従業員 → 給与から引かれる保険料が減り、手取りが増える
- 会社 → 社会保険料の会社負担分が減り、人件費負担が軽くなる
という、双方にとってプラスの効果があります。
たとえば月給30万円の方の場合、本人負担は月に100円台の減少ですが、年間では数千円規模になります。
小さな金額に見えても、物価高が続く中では嬉しい変化といえるでしょう。
すべての地域で同じではありません
注意点として、協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに異なる仕組みです。
今回引き下げが検討されているのは「全国平均」であり、実際の料率がどの程度下がるかは地域によって変わります。また、最終的な料率は運営委員会での議論を経て正式に決定されます。
今後に向けて考えるポイント
今回の引き下げは明るいニュースですが、日本は今後も高齢化が進み、医療費は増え続ける見込みです。
そのため、社会保険料が今後ずっと下がり続けるわけではありません。だからこそ企業としては、
- 社会保険制度の正しい理解
- 人件費の見通しを立てた経営
- 従業員への丁寧な説明
がこれまで以上に重要になります。
社会保険の仕組みや保険料の変化について不安や疑問があれば、是非ご相談ください。
最新情報を踏まえ、会社の状況に合ったアドバイスを行います。


