窓口で10割請求!? 労災治療で起こりがちな誤解と正しい知識

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

業務中のケガで病院を受診した際、本来であれば労災保険が適用され、窓口負担は0円になります。しかし、実際の現場では「労災で来たのに10割請求された」「思っていたよりも費用がかかった」という声が少なくありません。当事務所にも同様の相談がよく寄せられます。

では、なぜこうしたことが起こるのでしょうか?

今回は、労災指定病院であってもお金を請求されるケースと、その後の対応についてお話ししたいと思います。

■よくある理由① “労災の書類”が提出されていない

労災保険で治療を受けるには、会社が証明した以下の書類が必要です。

  • 業務災害の場合:様式第5号
  • 通勤災害の場合:様式第16号の3

これらが病院に提出されていないと、病院は「通常の保険診療」として扱わざるを得ません。そのため、一時的に10割請求(または3割請求)されることがあります。

後日書類を提出すれば、労災扱いとして精算され、支払った費用は返金されます。

■よくある理由② 一時的に10割立て替えをお願いする病院の仕組み

病院によっては、内部処理の都合上、

「まず全額10割を請求 → 後日、労災として処理 → 返金」

という流れを採用している場合があります。これは労災の請求方法が通常の健康保険と異なり、手続きに時間がかかるためです。

■よくある理由③ 病院側で“労災かどうか判断がつかない”とき

ケガの状況や原因がはっきりせず、病院が労災として扱えるか判断できないケースでは、病院は一旦患者側に費用を請求します。その後、会社と労働基準監督署が労災と認めれば、支払った費用は返金されます。

■よくある理由④ 労災対象外の医療行為が含まれていた

労災治療と同時に、業務に関係のない診療や検査を行った場合、その部分については自己負担が発生します。

たとえば、ケガで受診した際にインフルエンザ検査をしたようなケースがこれにあたります。

■もし10割請求されたらどうすればいい?

対応はとてもシンプルで、次のステップを踏むだけです。

① 会社の労災担当者に連絡

「労災で受診したが窓口で請求された」と伝えましょう。

② 労災書類(様式5号または16号の3)を準備

会社で内容を証明してもらう必要があります。

③ 病院へ書類を提出

その後、病院が労基署へ請求手続きを行います。

④ 支払った費用は後日返金

返金方法は病院によって異なりますが、多くは窓口で返金されます。

■まとめ

労災で受診したにもかかわらず10割請求されると、驚いたり不安になったりするものです。しかし、多くの場合は書類の未提出や病院の処理方法によるもので、正しく手続きを進めれば支払った費用は戻ってきます。

当事務所では、労災手続きの流れや会社側の対応方法などについてもサポートしております。

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です