実施して終わり…になっていませんか?“ストレスチェック”を活かした職場づくり
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
皆さんの職場では、毎年行われる「ストレスチェック」を上手に活用できていますか?
2015年の法改正により導入されたこの制度は、形だけの実施になってしまいがちですが、実は“職場の健康力”を高める大きなチャンスでもあります。今回は、ストレスチェックの基本から活用のポイントについてお話ししたいと思います。
■ ストレスチェックは義務?対象は?
まず知っておきたいのは、ストレスチェックは「常時50人以上の労働者がいる事業場では義務」という点です。50人未満の事業場は義務ではありませんが、努力義務として実施が推奨されています。
ここでいう「労働者」には、正社員だけでなく、一定の条件を満たしたパート・アルバイトも含まれます。一つの会社に複数の事業場がある場合は、事業場ごとに人数をカウントします。
義務となる事業場が行うべきこと
・年1回のストレスチェック実施
・高ストレス者が面接指導を希望した場合の医師面接
・必要に応じた勤務配慮や職場改善の実施
・ストレスチェックに関する情報管理の徹底
制度を正しく運用することで、従業員のメンタル不調の早期発見につながるだけでなく、長期的には離職防止や生産性向上にも効果が期待できます。
■ ストレスチェックの目的は“気づき”と“改善”
ストレスチェックは、単に従業員のストレス度合いを測るだけのものではありません。
・個人のメンタル不調を早期に察知する
・職場全体のストレス要因を可視化する
・組織の課題を発見し改善につなげる
こうした目的を踏まえると、「やって終わり」ではもったいない制度だということがわかります。
■ 活用するための3つのポイント
① 結果を“職場改善”につなげる
個人結果だけでなく、組織全体の分析(組織診断)が重要です。
例えば、
・特定の部署だけストレスが高い
・仕事の量や質に対する不満が多い
・上司とのコミュニケーションに課題がある
など、改善のヒントとなる情報が見えてきます。
② 安心して受検できる環境をつくる
従業員が「評価に影響するのでは…」と不安に思うと、本音で回答できません。ストレスチェックは本人の同意なしに個人結果を会社へ提供できない制度であることを丁寧に説明し、安心感を育てることが大切です。
③ 高ストレス者へのフォローを確実に
高ストレスと判定された従業員が医師面接を希望した場合、企業には必ず応じる義務があります。
また、医師の意見を踏まえた勤務配慮(業務量の調整、配置転換など)も重要です。ここを丁寧に行うことで、従業員の安心感が高まり、メンタル不調による離職を防ぐ効果も期待できます。
■ ストレスチェックは“職場づくりのスタート”
ストレスチェックは、実施して結果を見て終わり、ではなく、「ここから職場をどう良くしていくかを考えるためのスタートライン」です。
・管理職のマネジメント研修
・コミュニケーション活性化の取り組み
・業務量や役割分担の見直し
・働きやすい制度づくり(時差出勤、リモートワークなど)
こうした改善を積み重ねることで、従業員が安心して働ける組織へと変わっていきます。
■ 最後に
ストレスチェックは義務の有無にかかわらず、どの事業場でも“効果的に活用できる”重要な仕組みです。
「うちは対象になる?」「実施方法がわからない」「分析まで手が回らない」などのお悩みがあれば、当事務所がサポートいたします。
従業員の健康と企業の成長のために、ストレスチェックを上手に活かしていきましょう。


