社員がすぐ辞めない会社は“オンボーディング”が違う
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
「せっかく採用したのに、すぐに辞めてしまった…」
「新人がなかなか職場になじめない」
そのようなお悩みを耳にすることがあります。
採用に時間もコストもかけたのに、早期離職してしまうのは本当にもったいないことです。
その“入社後のミスマッチ”を防ぐカギとなるのが 「オンボーディング(Onboarding)」 という考え方です。
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■ 「オンボーディング」ってなに?
オンボーディングとは、直訳すると「乗船する」という意味。
もともとは新しく船に乗り込んだクルーが、船の環境や仕事に慣れるまでのプロセスを指していました。
企業においては、新しく入社した社員が、できるだけ早く職場になじみ、力を発揮できるように支援する仕組み
のことをいいます。
簡単に言えば、「新入社員の職場デビューを成功させるための準備とサポート」です。
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■ オリエンテーションとの違いは?
「それって入社時研修のこと?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、オンボーディングは“研修”よりももっと広い概念です。
オリエンテーションは入社初日の説明会など“数日のイベント”で終わりますが、オンボーディングは入社後数ヶ月~半年間にわたって行う継続的なフォローを指します。
新人が会社に慣れ、自信をもって働けるようになるまでをトータルで支援するのがオンボーディングの目的なのです。
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■ なぜ今オンボーディングが大切なのか
近年、「早期離職」が多くの企業で課題になっています。
特に若手社員は、
「思っていた仕事と違った」
「職場の雰囲気になじめなかった」
といった理由で、3ヶ月以内に辞めてしまうケースも少なくありません。採用コストだけでなく、教育担当者の負担、職場のモチベーション低下にもつながります。
そのため、入社後の受け入れ体制を整えることが“定着率アップ”の鍵になっているのです。
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■ 成功するオンボーディングの3つのポイント
① 初日からの「安心感」づくり
最初の印象はとても大切です。
入社初日に机や名刺を用意しておく、社員全員で歓迎するなど、
「あなたを待っていました」という雰囲気をつくりましょう。
② “教える人”を決めておく
新人が何か困ったとき、気軽に相談できる人がいるかどうかがポイントです。
メンター制度(先輩社員のサポート)を導入するのも効果的です。
③ 定期的なフォロー面談
1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後などの節目で上司や人事担当が面談を行い、
不安や悩みを早めにキャッチします。
「どう?慣れてきた?」という一言が、社員の安心につながります。
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■ オンボーディングは“会社の文化づくり”でもある
オンボーディングの目的は、新人教育だけではありません。
会社全体で「人を育てる」「人を大切にする」文化を根づかせることにあります。
新人が安心して働ける会社は、既存社員にとっても居心地のいい職場です。
結果として、離職率の低下・チーム力の向上・採用力の強化という好循環を生み出します。
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■ まとめ
採用は「入社したら終わり」ではなく、「入社してからがスタート」。
オンボーディングを整えることで、新人が早く戦力化し、長く働ける職場をつくることができます。ちょっとした工夫と気配りが、社員の定着と会社の成長を支えます。
“人が育つ会社”を目指して、オンボーディングを意識してみてください。


