退職給付金の正体とは?誤解しやすい制度を社労士が解説
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
最近、「退職給付金がもらえる」「数百万円の給付が受け取れる可能性」といった広告を目にする機会が増えています。SNSやインターネット広告を中心に広がっており、興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。
しかし結論から申し上げると、「退職給付金」という名称の公的制度は存在しません。
この点を正しく理解しておかないと、誤解やトラブルにつながる可能性があります。
では、こうした広告は何を指しているのでしょうか。
多くの場合、いわゆる「退職給付金」として紹介されているものの正体は、雇用保険の「基本手当(いわゆる失業保険)」や「再就職手当」などです。これらは確かに退職後に受け取れる可能性のあるお金ですが、一定の条件を満たした場合に限られます。
たとえば失業保険は、「働く意思と能力があり、求職活動を行っていること」が大前提です。単に退職しただけで自動的にもらえるものではありません。また、自己都合退職か会社都合退職かによって、給付開始までの期間や受給日数も変わります。
さらに注意が必要なのは、「申請すれば誰でも簡単に高額受給できる」といった誤解を招く表現です。実際には、受給額はこれまでの賃金や加入期間などによって決まるため、広告でうたわれているような金額が必ず受け取れるわけではありません。
また、一部の広告では「専門家が申請を代行」「最大限受給できるようサポート」といったサービスも見受けられます。しかし、雇用保険の手続きは原則として本人が行うものであり、内容によっては不適切な関与やトラブルに発展する可能性もあります。
特に注意したいのは、「受給条件を満たしていないにもかかわらず受給を勧められるケース」です。不正受給と判断された場合、給付金の返還だけでなく、追加の納付(いわゆるペナルティ)が課されることもあります。
このように、「退職給付金」という言葉だけが一人歩きしてしまうと、本来の制度の趣旨とは異なる理解が広がってしまいます。
退職後に利用できる公的制度は確かに存在しますが、それぞれに明確な要件があります。大切なのは、「正しい制度名」と「受給条件」を理解したうえで、適切に手続きを行うことです。
もしご自身のケースで受給対象になるのか不安な場合は、最寄りのハローワークや専門家に相談することをおすすめします。インターネット上の情報だけを鵜呑みにするのではなく、公的機関や信頼できる専門家からの情報をもとに判断することが重要です。
当事務所でも、退職後の手続きや雇用保険に関するご相談を承っております。正確な情報に基づき、安心して次のステップへ進めるようサポートいたします。


