物価高に追いつかない介護職の賃金 人手不足が止まらない本当の理由
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
全国の介護従事者で組織する労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」が公表した最新の調査結果によると、月給制で働く介護従事者の平均賃金は月26万9,194円でした。前年より約7,400円、率にして2.9%の賃上げとなっています。
一見すると賃金は上がっているように見えますが、問題は他産業との格差です。厚生労働省の統計による全産業平均の月給は34万600円。介護職はこれより7万円以上低い水準で、しかも前年より格差は拡大しています。
「処遇改善」が追いつかない現実
介護業界ではこれまで、処遇改善加算などを通じて賃上げが進められてきました。しかし今回の調査結果は、その効果が物価高や他産業の賃上げスピードに追いついていないことをはっきり示しています。
実際、調査では
• 「今の賃金に不満がある」…66.8%
• 「1年前より生活が苦しくなった」…67.7%
という結果が出ています。
賃金は上がっても、食料品や光熱費、住居費などが値上がりする中で、生活の実感としては“苦しくなっている”という声が多数を占めています。
人手不足が深刻化する構造的な問題
賃金格差の拡大は、介護業界の慢性的な人手不足に直結します。
介護の仕事は身体的・精神的な負担が大きく、夜勤や不規則勤務も少なくありません。その一方で、他産業より賃金が低いとなれば、若い世代が敬遠するのは無理もないでしょう。
訪問介護、通所介護、施設介護、ケアマネジャー、障害福祉分野など、どの分野でも人材確保が経営課題となっています。
結果として、現場の負担がさらに増え、離職につながるという悪循環が生まれています。
報酬改定だけでは限界がある
介護事業所の経営は、国が定める介護報酬に大きく左右されます。そのため「賃金を上げたくても原資がない」という声を多く耳にします。
報酬改定は重要ですが、それだけで現場の課題がすべて解決するわけではありません。
例えば、
• 加算の取りこぼしはないか
• 人員配置や働き方は適正か
• 無理のないシフトや定着策が取れているか
こうした点を見直すことで、限られた原資の中でも改善できる余地は存在します。
社会保険労務士としてできる支援
社会保険労務士は、賃金制度の設計、処遇改善加算の活用、労務管理の見直しなどを通じて、介護事業所の経営と現場の両立を支援する専門家です。
「賃上げしたいが、どう進めればいいかわからない」
「職員の不満や離職を何とかしたい」
こうした悩みを抱える介護事業者様こそ、早めの対策が重要です。
賃金格差の問題は、現場任せでは解決できません。制度を正しく理解し、できることから一つずつ取り組むことが、安定した介護経営への第一歩となります。


