介護倒産が過去最多に──介護事業者を直撃する“三重苦”と生き残りの分かれ道
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
2026年1月、東京商工リサーチから「介護事業者の倒産状況」に関する調査結果が公表されました。
それによると、2025年の介護事業者の倒産件数は176件。前年の172件を上回り、2年連続で過去最多を更新しています。
コロナ禍前の2019年は111件でしたから、わずか数年で約6割も増えた計算になります。この数字は、介護業界が置かれている厳しい現実を如実に表しています。
背景にある「三重苦」とは?
倒産増加の背景として挙げられているのが、次の三重苦です。
- 厳しい介護報酬改定
- 終わりの見えない物価高騰
- 深刻な人材不足(他産業への流出)
介護報酬は国が決めるため、事業者が自由に価格転嫁することができません。一方で、光熱費や食材費、消耗品費は上昇を続け、人件費も引き上げざるを得ない状況です。
「破産」が9割超という現実
倒産の形態を見ると、160件が破産。全体の9割以上を占めています。
民事再生などの再建型はごくわずかで、「立て直す余力がないまま市場から退出せざるを得ない」事業者が大半であることが分かります。
これは、介護事業が一度つまずくと、立て直しが非常に難しい構造であることを示しています。
訪問介護が突出して多い理由
業態別で特に深刻なのが訪問介護です。
倒産件数は91件と全体の半数を超え、3年連続で過去最多を更新しています。
訪問介護は人手依存度が高く、移動時間が多い一方で報酬単価が低いという構造的な課題があります。人材が確保できなければサービス提供自体が成り立たず、経営への影響が直撃します。
小規模事業者ほど厳しい現実
倒産した事業者の約8割は従業員10人未満、資本金500万円未満が7割超と、小規模・零細事業者が大半です。
経営体力に余裕がなく、
- 突発的な人員離脱
- 物価高によるコスト増
- 加算取得のための事務負担
こうした一つ一つが、致命傷になりやすいのが実情です。
これから介護事業者に求められる視点
政府は介護職員の賃上げを進めていますが、他産業との賃金格差は依然として大きく、人材確保は簡単ではありません。
今後は「自助努力だけでは限界」という前提で、外部の専門家を活用した経営・労務管理がますます重要になります。
- 助成金・加算の取りこぼし防止
- 労務トラブルの未然防止
- 人が辞めにくい職場づくり
これらを地道に積み重ねることが、生き残りへの第一歩となります。
当事務所としてできること
社会保険労務士は、「人」と「制度」の専門家です。
厳しい時代だからこそ、正しい制度活用と無理のない労務管理が、経営を支える力になります。
介護業界の未来を守るためにも、当事務所として対策と相談を承ります。


