障害者雇用は「義務」から「戦略」へ――最新データから読み解く実務のポイント

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

厚生労働省が公表した最新の障害者雇用状況によると、民間企業で働く障害者数は70万4610人となり、初めて70万人を突破しました。22年連続で過去最多を更新しており、障害者雇用が企業経営における「例外的な取り組み」ではなく、「標準的な責務」となりつつあることを示しています。

精神障害者雇用の拡大と、企業対応の現実

障害種別では、精神障害者が全体の約半数を占め、前年比12%増と大きく伸びています。業務の細分化や在宅勤務の活用などにより、精神障害者を雇用しやすい環境が整ってきたことが背景にあります。一方で、法定雇用率2.5%を達成している企業は46%にとどまり、未達成企業の約6割は障害者を1人も雇用していません。企業間の対応格差は年々広がっています。

未達成の場合に生じる「納付金」というコスト

法定雇用率を達成していない企業(常用労働者100人超)には、「障害者雇用納付金」の支払い義務が発生します。これは未雇用人数1人につき月額5万円(年間60万円)を支払う制度で、毎年継続的に発生する固定費となります。採用が進まない限り、コストは将来にわたって積み上がっていく点に注意が必要です。

行政指導・企業イメージへの影響も無視できない

未達成が続く場合、ハローワークからの指導や計画書の提出要請、改善指導が行われることがあります。また、障害者雇用状況は公表制度の対象となるため、取引先や金融機関、求職者からの企業評価に影響を及ぼす可能性もあります。単なる法令違反ではなく、経営上の信用リスクと捉える必要があります。

「人数合わせ」ではない、持続可能な雇用設計を

重要なのは、納付金を避けるための短期的な対応ではなく、自社に合った障害者雇用の仕組みを構築することです。業務の棚卸し、受け入れ部署の選定、労働時間や評価制度の見直し、助成金の活用など、初期設計を丁寧に行うことで、定着率は大きく変わります。

社会保険労務士が支援できること

社会保険労務士は、法定雇用率への対応だけでなく、納付金・助成金の整理、行政対応、実務に即した雇用設計までを一体的に支援します。「まだ先の話」と考えている段階から準備を始めることで、コストとリスクを最小限に抑えることが可能です。障害者雇用70万人時代、経営者の早期判断が企業の将来を左右します。

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