「静かな退職」が人材課題の新潮流に?今すぐ知るべき実態と対応策
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
昨今、企業における人材確保・定着の課題がますます深刻になっています。
求人活動や採用活動に力を入れている企業は多いものの、入社後の社員が意欲を失い、最低限の業務しか行わない「静かな退職(Quiet Quitting)」の存在が注目されています。
エン・ジャパンが実施したアンケート調査によると、5社に1社がこうした状態の社員がいる、または可能性を感じていると回答しています。
とりわけ300名以上の企業では90%以上が存在を認識しており、決して他人事ではありません。
「静かな退職」とは、業務を継続しながらも、自発的な挑戦や付加価値の創出をせず、必要最低限の仕事しか行わない状態を指します。
調査では、特に役職に就いていない一般社員、バックオフィス職(経理・総務・人事など)で発生率が高いという結果が出ています。
この状態が進行すると、職場全体のモチベーション低下や生産性の低下、さらには周囲の社員にも悪影響を及ぼす可能性があります。
企業にとっては単なる「やる気の問題」と軽視するのではなく、組織全体の人材戦略の見直しが必要です。
🔎静かな退職が起きる背景
調査によると、静かな退職が起きる最多の理由として「プライベートを重視する意識の高まり」が挙げられています。また、「特に原因がわからない」という企業も多く、意図的なものから無自覚なものまでさまざまなケースが含まれていることが示唆されています。
こうした状況は、働き方改革やワークライフバランスの意識向上が進む一方で、「求められる役割と本人の価値観とのギャップ」が生まれているとも考えられます。例えば、柔軟な働き方が可能になっても、期待される成果や評価制度が本人のニーズと噛み合わない場合には、やる気が失われやすくなります。
💡対応のポイント
では、この「静かな退職」状態を予防・改善するために、どのような施策が考えられるでしょうか?いくつかのポイントを紹介します。
✅1. 定期的なコミュニケーションと面談
上司との1on1面談や定期的な評価面談を通じて、社員の価値観やキャリア志向を早期に把握します。
本人の不満や課題を放置せず、適切に対応することで、離職やモチベーション低下を未然に防ぐことができます。
✅2. 評価制度・処遇制度の見直し
静かな退職が「給与や評価への不満」から来ている場合には、評価基準の透明化や成果の適正な評価が重要です。
特にバックオフィス職は成果が見えにくいため、定量・定性双方の指標を設けることで公正な評価につなげることができます。
✅3. キャリア形成支援と教育制度
社員が自分の成長を実感できるように、キャリアパスの提示やスキルアップ支援制度を整備することも有効です。
研修や資格取得支援を通じて、主体的なキャリア形成を促す取り組みが求められます。
✅4. 働き方の柔軟性と業務設計
プライベート重視の価値観と仕事を両立させるために、柔軟な勤務制度、リモートワーク制度、フレックスタイム制などを導入する企業も増えています。
働き方の選択肢を広げることで、社員のエンゲージメント向上に寄与します。
📌まとめ
「静かな退職」は単なるトレンドワードではなく、現代の職場が抱える人材マネジメントの課題そのものです。
5社に1社という割合は決して軽視できず、特に人手不足や働き方の多様化が進む今、組織全体で真剣に向き合うべきテーマと言えます。
当事務所では、労務管理制度や評価制度の整備、人材戦略の設計など、多角的な視点でサポートを行っております。
採用や労務手続きだけでなく、社員が長く活躍できる組織づくりをしたいとお考えの事業主様は、お気軽にご相談ください。


