育休後に辞める社員は違法?誤解されやすい制度の仕組みと職場でできる対策

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

最近、SNSやニュースで「育休もらい逃げ」という言葉が話題になっています。育休を取得しておきながら、会社に復職せず辞めてしまう人がいる――そんなケースを指した刺激的なワードです。批判の声も多く上がっていますが、今回はこの「育休もらい逃げ」について、法律・制度の仕組みと 企業ができることをお話ししたいと思います。

育休取得後に辞めるのは「違法」?

まず最初に誤解しがちなポイントがあります。それは、

育休後に辞めること自体は法律上違法ではない

ということです。労働者には「職業選択の自由」があり、期間の定めがない契約であれば、法律上いつでも退職を申し出る権利があります。育休後であっても、この退職の自由は制限されません。

“育休手当(育児休業給付金)”って何? 会社の負担?国の制度?

多くの人が“もらい逃げ”と感じる理由の一つが、育休中にもらうお金に対する誤解です。育児休業給付金は、会社が支払っているお金ではありません。雇用保険から支給されるもので、受給する人がこれまで支払ってきた保険料を原資としています。つまり、その制度を正しく使って給付を受けることは正当な権利であり、企業が返金を求める筋合いではないという点を理解することが大切です。

なぜ“もらい逃げ”のように見えるケースが起きるのか?

では、どうして育休後に復職せず退職する人がいるのでしょうか。実際には、本人も最初から辞めるつもりで育休を取ったわけではないケースが多くあります。例えば次のような事情です:
• 保育園に入れず復職が難しくなった
• 育児と仕事の両立に不安を感じた
• 家族の事情(夫の転勤など)が変わった

こうした「やむを得ない事情」や、本人のライフプランの変化が背景にあることが少なくありません。

企業側としてできること:防止ではなく“支援”を

企業が「もらい逃げ」を防ごうとして誓約書を求めても、法的な強制力はありません。では具体的に何ができるのでしょうか?社労士としてお勧めしたいのは次の3つです:

① 育休中のコミュニケーションを大切にする

育休に入った途端に音信不通――となっていませんか?
定期的に会社の状況や本人の近況を聞くことで、「戻りたい」という気持ちにつながる環境をつくりましょう。

② 具体的な復職のイメージを共有する

時短勤務や急な休みに対応できる体制、仕事内容の見直しなど、復職後の働き方を具体的に話し合うことで不安を軽減します。

③ 制度だけでなく“職場の風土”を整える

いくら制度が充実していても、「育休明けは迷惑」という空気があると誰も戻りたくなくなってしまいます。男性育休の取得促進や、育児と仕事の両立を応援する文化づくりが大切です。

“もらい逃げ”議論から見える社会課題

今回の騒動は、単なる個人の行動・モラルの問題ではなく、給与・保育・働き方といった社会全体の問題が背景にあります。制度を正しく理解し、働く人・企業・社会が一緒に考えることが求められていると言えるでしょう。

まとめ:理解と対話がカギ
• 育休後に辞めることは違法ではない
• 育児休業給付金は正当な権利として支給される
• 企業は支援的な環境づくりで社員の復職意欲を高めることが重要

育児休業制度そのものは、働く人が子育てと仕事を両立するための大切な仕組みです。誤解や感情論だけで判断せず、それぞれの事情を理解し合うことが、職場の信頼関係につながります。

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