就業規則と雇用契約書、どちらが優先?経営者が知るべき基本ルール

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

企業が従業員を雇用する際に関わる重要なルールとして、「労働基準法」「就業規則」「雇用契約書」の3つがあります。しかし、それぞれの違いや優先順位を正しく理解していないことが、労務トラブルの原因になるケースは少なくありません。

今回は、この3つの関係性について分かりやすく整理します。

■ まずは土台となる「労働基準法」

労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律です。

労働時間(原則1日8時間・週40時間)、休憩、休日、割増賃金、有給休暇、解雇の制限など、基本的なルールが定められています。

重要なのは、「最低基準」であるという点です。

つまり、法律を下回る労働条件は無効になります。

例えば、雇用契約書に「残業代は支払わない」と記載しても、その内容は法律違反となり無効です。会社と従業員が合意していても、有効にはなりません。

■ 会社のルールブック「就業規則」

就業規則は、会社全体の統一ルールを定めたものです。常時10人以上の労働者を使用する事業場では作成と届出が義務付けられています。

始業・終業時刻、賃金の計算方法、退職・解雇事由、休職制度、懲戒処分など、会社運営の基本ルールが記載されます。

就業規則は、いわば「会社の憲法」のような存在であり、原則として従業員はその内容に拘束されます。

■ 個別の約束「雇用契約書」

雇用契約書は、会社と従業員個人との間で取り交わす個別契約です。

基本給、職種、勤務地、契約期間など、個別条件を定めます。

実務上は「雇用契約書の方が強い」と誤解されがちですが、実際はそうではありません。

■ 優先順位の考え方

原則的な優先順位は次のとおりです。

  1. 労働基準法(最優先)
  2. 就業規則
  3. 雇用契約書

ただし例外があります。

雇用契約書の内容が就業規則よりも「労働者にとって有利」な場合は、その有利な条件が優先されます。

例えば、就業規則では基本給20万円と定めていても、個別契約で25万円と合意していれば、25万円が有効となります。

一方で、不利な条件に変更することは簡単ではありません。就業規則の不利益変更には合理性や周知が必要となり、慎重な対応が求められます。

■ トラブルを防ぐために

実務で多いのは、

・就業規則と雇用契約書の内容が食い違っている

・法改正に就業規則が対応していない

・過去の口頭約束が残っている

といったケースです。

これらは、未払い残業代請求や解雇トラブルにつながるリスクがあります。

労働基準法を土台に、就業規則で会社の統一ルールを整備し、雇用契約書で個別条件を明確にする。この3層構造を正しく理解し、整合性を保つことが、トラブル予防の第一歩です。

一度、自社の就業規則と雇用契約書の整合性を確認してみてはいかがでしょうか。

小さなズレが、大きな労務リスクに発展する前に、早めの見直しをおすすめいたします。

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です