経営者が知っておきたい2026年度協会けんぽの収支と保険料動向
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
2026(令和8)年度の政府予算案が示され、協会けんぽ(全国健康保険協会)の収支見込みも公表されました。
今回は「医療分」「介護分」「子ども・子育て支援金分」の3つに分けて、社会保険労務士の視点で、できるだけ分かりやすく解説します。
「結局、保険料は上がるの?下がるの?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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【医療分】平均保険料率は9.9%に引き下げ
まず、最も影響が大きい医療分です。
2026年度の協会けんぽの平均保険料率は9.9%とされ、2025年度の10.0%から0.1%ポイント引き下げとなります。
この保険料率を前提に算出した収支見込みは次のとおりです。
• 収入総額:12兆3,979億円
• 支出総額:11兆8,841億円
• 単年度収支差:5,137億円の黒字
一見すると「かなり余裕があるのでは?」と感じるかもしれませんが、注意が必要です。
収入が増える理由
収入は、2025年度の決算見込みから516億円増加すると見込まれています。
本来、保険料率の引き下げは減収要因ですが、それ以上に、
• 被保険者の標準報酬月額の上昇
• 賃金水準の上昇による保険料収入増
といった要因が大きく影響しています。
支出も増加している
一方、支出は1,951億円増加する見込みです。
主な理由は、
• 加入者1人当たりの医療費の増加
• 高齢化や医療の高度化
など、構造的な要因です。
「今は黒字でも、将来は楽観できない」というのが実情といえるでしょう。
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【介護分】介護保険料率は1.62%へ引き上げ
次に、40歳以上の方が負担する介護保険料です。
2026年度の介護保険料率は、
1.59% → 1.62%(0.03%ポイント増)
となります。
この引き上げの理由は、前年度までの剰余金(余ったお金)が、2025年度ほど見込めなくなったためです。
介護サービスの利用者増加は今後も続くと見込まれており、介護保険料は中長期的に上昇傾向にある点は、企業・個人ともに押さえておきたいポイントです。
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【子ども・子育て分】2026年4月から新たな負担がスタート
2026年4月からは、子ども・子育て支援金制度が新たに始まります。
2026年度の支援金率は、国が示した「実務上一律の率」に基づき、
0.23%とされています。
この支援金は、医療保険料とあわせて徴収される仕組みで、
企業・被保険者ともに新たな負担増となります。
「少額だから影響は小さい」と思われがちですが、
人件費総額で見ると、企業経営への影響は決して無視できません。
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今後に備えてできること
令和8年度は、
• 医療分:保険料率はわずかに引き下げ
• 介護分:引き上げ
• 子ども・子育て分:新たな負担がスタート
と、プラスとマイナスが混在する年になります。
今後は、
• 賃金改定と社会保険料のバランス
• 人件費シミュレーション
• 従業員への説明・情報共有
が、これまで以上に重要になります。
「うちの会社だと、実際どれくらい影響があるのか?」
そんな疑問があれば、ぜひ社会保険労務士にご相談ください。

