身元保証書の落とし穴~保証期間と会社の法的リスク~

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

従業員の入社時に「身元保証書」を提出してもらっている企業は、少なくありません。
その中でご相談を受けることが多いのが、保証期間の記載についてです。

特に多いのが、
「保証期間は10年間とする」
「退職するまで保証する」
といった文言です。

一見すると会社にとって安心な内容に見えますが、実は法律上、そのまま有効とはならないケースがあることをご存じでしょうか。

身元保証の根拠となる法律

身元保証については、「身元保証ニ関スル法律(身元保証法)」という法律でルールが定められています。

この法律では、保証期間について次のように規定されています。
• 身元保証の期間は、最長5年
• 期間の定めがある場合でも、5年を超えることはできない
• 期間の定めがない場合は、契約成立の日から3年

つまり、保証期間を10年と記載しても、法律上は5年までしか認められないのです。
10年と書いたからといって違法行為として直ちに処罰されるわけではありませんが、超過部分は無効となり、自動的に5年に短縮されます。

実際にあった相談事例

ある中小企業様では、長年同じ身元保証書を使い続けており、保証期間は「10年間」と記載されていました。

元従業員による金銭トラブルが発生し、会社が保証人に請求を行ったところ、
保証人側の弁護士から次のような指摘を受けました。

「身元保証法により、保証期間は5年が上限です。
すでに期間は満了しており、保証責任はありません。」

結果として、会社は保証人に請求することができず、大きな損失を被ることになりました。
「書面があるから安心」と思っていても、法律に合っていなければ意味をなさない典型例です。

保証期間は更新できる?

ご安心ください。
身元保証は、5年ごとに更新することは可能です。

ただし注意点があります。
• 自動更新は不可
• 必ず保証人の明確な同意(書面)が必要
• 更新時には、従業員の職務内容や状況を説明する配慮も必要

形式的に更新書を取るだけでは、後々「保証人に十分な説明がなかった」と争われるリスクもあります。

企業が今すぐ見直すべきポイント

✔ 保証期間が「5年」を超えていないか
✔ 「退職まで有効」など曖昧な表現になっていないか
✔ 更新手続きのルールが整備されているか
✔ 何十年も前の書式を使い続けていないか

身元保証書は、会社を守るための書類であると同時に、法律遵守が強く求められる書類です。

まとめ

就業規則や雇用契約書と同様に、身元保証書も定期的な見直しが不可欠です。
「昔からこうしているから大丈夫」という運用が、思わぬ法的リスクにつながることもあります。

身元保証書の文面チェックや、実務に合った書式作成についても、ぜひ当事務所にご相談ください。

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