事業譲渡時の「従業員情報の引き継ぎ」どこまでOK?実務で失敗しないポイント
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
事業譲渡を検討している経営者の方から、よく次のようなご相談を受けます。
「従業員の履歴書は譲渡先の会社に渡しても問題ないのでしょうか?」
結論から言うと、条件を守れば違法ではありませんが、注意点を知らずに渡すと個人情報保護法違反になる可能性があります。
今回は、事業譲渡の際の従業員の個人情報についてお話ししたいと思います。。
事業譲渡では「第三者提供」にならないケースがある
通常、個人情報を他社に渡すには本人の同意が必要です。
しかし、個人情報保護法では、事業譲渡などによる事業承継に伴う個人データの移転については、一定の条件を満たせば「第三者提供」に当たらないとされています。
たとえば、
- 従業員が譲渡後も同じ事業で働き続ける
- 人事・労務管理という利用目的が引き継がれる
このような場合には、従業員の同意がなくても情報を引き継げる可能性があります。
それでも「履歴書をそのまま渡す」のは要注意
履歴書には、住所・学歴・職歴だけでなく、家族構成や写真、健康に関する情報などが含まれていることもあります。
ここで重要なのが、「本当に必要な情報だけか?」という視点です。
【よくあるNG事例】
ある中小企業が事業譲渡の際、「後で整理するのが面倒だから」と、全従業員分の履歴書をそのまま譲渡先に渡しました。
その中には、
- すでに退職予定の従業員
- 人事管理には不要な家族情報
まで含まれており、結果として目的外利用のリスクが高い状態になってしまった。
特に注意したい「要配慮個人情報」
履歴書や人事資料に、病歴や障害に関する情報が含まれている場合、これは「要配慮個人情報」に該当します。
これらは、「引き継がない」「別管理にする」など、より慎重な対応が求められます。
実務では「履歴書を渡さない」選択も多い
実際の事業譲渡の現場では、
- 氏名
- 雇用形態
- 勤続年数
- 賃金・役職
などをまとめた人事情報一覧表を作成し、履歴書そのものは渡さない、という対応がよく取られています。
また、法律上は同意が不要な場合でも、「事業譲渡に伴い個人情報が移転すること」を事前に従業員へ説明することが、トラブル防止の観点から非常に重要です。
まとめ:迷ったら専門家へ相談を
事業譲渡は、法務・労務・個人情報が複雑に絡む場面です。
「これくらい大丈夫だろう」と判断してしまうと、後から問題になることも少なくありません。
当事務所では、
- 事業譲渡時の従業員対応
- 個人情報の適切な引き継ぎ方法
- 従業員向け説明文の作成
なども含めてサポートしています。
不安がある場合は、当事務所へご相談ください。


