労務管理の基本中の基本!“法定3帳簿”とは?
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
事業を始めて社員を雇用すると、会社はさまざまな労務管理の義務を負うことになります。その中でも特に重要なのが「法定3帳簿(ほうていさんちょうぼ)」です。これは労働基準法で作成・保存が義務付けられている帳簿で、企業規模にかかわらず、社員を1人でも雇えば必ず整備しなければならないものです。
「帳簿」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、内容を整理してしまえば決して複雑なものではありません。今回はこの「法定3帳簿」についてお話ししたいと思います。
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■法定3帳簿とは?
法定3帳簿とは、次の3つを指します。
1. 労働者名簿
2. 賃金台帳
3. 出勤簿(又は労働時間の記録)
これらはすべて「労働者の労働条件や実態を確認できる資料」として重要であり、労働基準監督署の調査でも必ずチェックされる項目です。
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■①労働者名簿 ― 従業員の基本情報を記録する帳簿
労働者名簿は、いわば従業員台帳のようなもの。
記載が必要な主な項目は以下です。
• 氏名・生年月日
• 住所
• 雇入れ日
• 職種
• 異動の記録
• 退職日・退職理由
これらの情報を整えておくことで、労務管理はもちろん、雇用保険・社会保険の手続きにも役立ちます。
なお、保存期間は退職後3年間です。
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■②賃金台帳 ― 賃金計算の裏付けとなる大切なデータ
賃金台帳は、従業員に支払った賃金の詳細を記録する帳簿です。給与計算ソフトで自動的に作成している会社が多く、内容を満たしていれば形式は問いません。
記載すべき主な内容は以下です。
• 基本給・手当の内訳
• 労働日数・労働時間
• 時間外・休日・深夜労働時間
• 控除額(社会保険料・所得税など)
• 支給総額と支給日
賃金台帳がしっかり整備されていることで、賃金未払いの防止や労使トラブルの回避にもつながります。
こちらも保存期間は3年間です(※一部は5年間へ延長予定)。
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■③出勤簿 ― 労働時間の把握は企業の義務
最後の「出勤簿」は、従業員の出勤・退勤時刻や労働時間を記録するものです。
紙のタイムカード、ICカード、システムの打刻データなど、形は自由ですが「客観的に記録できる」ことが求められます。
働き方改革以降、企業には労働時間の適切な把握がますます求められるようになりました。
出勤簿が整備されていないと、時間外労働の実態がわからず、残業代トラブルのリスクが高まります。
こちらも保存期間は3年間です。
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■なぜ法定3帳簿が重要なのか?
法定3帳簿は単なる事務作業ではなく、次のような役割を担っています。
• 労働基準監督署の調査に対応できる
• 賃金トラブルや「言った・言わない」問題を予防
• 適切な給与計算や社会保険手続きの基礎データになる
• 働き方改革における労働時間管理の証拠となる
帳簿が整っているだけで、労務リスクは大きく減らすことができます。
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■まとめ:まずは「作る」「保管する」から始めよう
法定3帳簿は、事業主にとって必須の労務管理ツールです。
とはいえ、実際には「どこまで揃っているかわからない」「タイムカードがバラバラに保存されている」という事業所も多く見られます。
当事務所では、法定3帳簿のチェックや整備、給与計算との連携方法など、実務に即したサポートを行っています。
「これから社員を雇う」「今の管理が正しいのか不安」という方は、お気軽にご相談ください。


