「週44時間特例」が廃止へ?2026年以降の労働時間ルールを解説!
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
政府の労働基準法改正の議論が進む中、注目されているのが 「週44時間特例」の廃止 です。
これは、主に小規模な飲食店・小売店・理美容業などに適用されてきた特例制度で、「常時10人未満」の事業場であれば、法定労働時間を 週44時間 まで延長できるというものです。
今回はその背景や理由、今後の影響について、お話ししたいと思います。
■ そもそも「週44時間特例」とは?
通常、労働基準法では
1日8時間/週40時間
が法定労働時間の基本です。
ところが、
- 飲食・小売
- 理美容
- 宿泊業
- 保健衛生
- 映画・演劇業
などの「常時10人未満の小規模事業場」については、例外として 週44時間まで働かせられる という特例が認められていました。
戦後の労働環境が今と大きく異なる中小零細企業向けの制度であり、長く温存されてきました。
■ 廃止が検討されている理由
● 実際には「使われていない」制度になっている
政府の調査では、この特例を「利用している」と回答した事業場はごく少数でした。多くの企業は週40時間で運用しており、特例の必要性が薄れてきているのです。
● 同じ仕事でも労働時間が違う“不公平”
同じ飲食店でも、
- 従業員が10人「以上」か「未満」か
で法定労働時間が変わるという不公平があり、従業員からも問題視されていました。
● 働き方改革の流れ
長時間労働の是正や健康配慮の観点から、「業種や規模に関係なく、すべての労働者に週40時間を適用すべき」という考え方が強まっていることも理由の一つです。
■ 廃止されるとどうなる?
● 全ての事業場が「週40時間」に統一
特例が廃止されると、規模・業種に関係なく週40時間を超えれば「残業」扱いとなり、割増賃金の支払いが必要になります。
● 小規模店舗ほどインパクトが大きい
これまで週44時間を前提にシフトを組んでいた飲食店や理美容店では、
- シフトの見直し
- 人件費の増加
- 勤怠管理の見直し
が必要になる可能性があります。
● アルバイト・パートにも影響
シフト時間が短縮されることで、
- 稼げる時間が減る
- 追加で人材を確保する必要が出る
など、雇う側・働く側の双方に影響があります。
■ 今から準備しておくべき点
1.
労働時間制度の棚卸し
現在の勤務シフトが週44時間を前提としていないか確認しましょう。
2.
残業代の発生ルールを再確認
週40時間を超えると残業代が発生するため、勤怠管理の精度を高める必要があります。
3.
就業規則の見直し
法改正に合わせて、所定労働時間や時間外労働の規定を変更する必要があります。
4. 人員配置のシミュレーション
シフト短縮により増員が必要になるケースも考えられます。
■ まとめ ― 準備しておけば怖くない!
「週44時間特例」の廃止は、働く人にとっては待遇改善につながり、事業者にとっては運用改善のきっかけになる大きな制度変更です。
まだ正式決定ではありませんが、方向性としては「廃止」が濃厚なため、早めに備えることが重要です。
当事務所では、
- 労働時間制度の見直し
- シフト設計
- 就業規則改定
など、実務面のサポートも行っています。
「うちも影響あるの?」といった疑問でもお気軽にご相談ください。

