法改正情報③ 勤務間インターバル制度が義務化へ?

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

前回に引き続き、2026年以降の法改正情報についてお話ししたいと思います。

今回は「勤務間インターバルの義務化」についてです。

近年、働き方改革が進む中で、「勤務間インターバル制度」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
この制度は、終業から翌日の始業までに一定の休息時間を設けるというもので、2019年から企業には「努力義務」として導入が促されていました。

しかし現在、政府の研究会では 2026年以降の労働基準法改正に向けて「義務化」 が本格的に検討されています。
もし義務化されれば、企業は従業員の休息時間を法的に確保しなければならず、シフト作成や残業体制に大きな見直しが必要になります。

■ 勤務間インターバル制度とは?

簡単にいえば、「昨日の退勤から今日の出勤までに〇時間以上の休みを取りましょう」というルール
です。

ヨーロッパではすでに広く導入されている制度で、主に
• 睡眠時間の確保
• 健康の維持
• 長時間労働の防止

を目的としています。

日本では原則「11時間」が目安として議論されており、これが義務化されると、企業は必ず従業員の休息を確保しなければならなくなります。

■ 企業にどんな影響があるの?

勤務間インターバルの義務化は、特に次のような会社に大きな影響があります。
• 交代制やシフト制で運営している
• 深夜営業・24時間体制
• 繁忙期に残業が増えやすい
• 現場ごとの勤務状況がバラバラ

例えば、夜遅くまで働いた従業員を翌朝早く出勤させることができなくなるため、「誰をどの時間帯に配置できるか」 を今以上に慎重に考える必要が出てきます。

■ 義務化された場合の企業が行うべき5つの準備

ここからは、実際に企業がどう準備すべきかを順番に説明します。

① 現在の勤務実態をチェックする

まずは、勤怠データから「退勤〜翌出勤の間が何時間空いているか」を確認します。
過去数か月分を分析し、インターバルが不足している部署や時間帯を洗い出しましょう。

② シフトや勤務時間の組み直し

不足が多い職場は、
• シフトパターンを増やす
• 始業時間を後ろにずらす
• 業務量を見直す

といった対策が必要です。

交代制の職場では、シフトの間隔が近くなりすぎないように設計し直すことが重要です。

③ 就業規則の改定

義務化されれば、就業規則に
• インターバル時間
• インターバルが確保できなかった場合の取り扱い
• 緊急時の対応
などを明確に記載する必要があります。

例外を広く設定しすぎると制度が形骸化し、法的リスクが高まるため注意が必要です。

④ 勤怠管理システムの整備

インターバル義務化に対応するには、
勤怠システムが “退勤〜出勤の間隔” を自動計算してくれることが必須 になります。

不足が発生した場合のアラート機能や、管理者向けの通知機能も必要です。
古い勤怠システムを使っている企業は早めの見直しをおすすめします。

⑤ 現場への説明と運用ルールの徹底

制度の成否は 現場の理解と協力 にかかっています。
• 残業を行う前の申請ルール
• インターバル不足が起きたときの対応
• 深夜勤務後の翌日出勤調整

などを丁寧に説明し、現場の管理者向けの研修を行うことが欠かせません。

■ まとめ:勤務間インターバル義務化は“働き方の再設計”のチャンス

勤務間インターバル制度は、単に「休息時間を確保する」だけでなく、企業全体の働き方や業務の組み方を見直すきっかけにもなります。

義務化された場合、企業には一定の負担が生じますが、
• 従業員の健康維持
• 定着率の向上
• 長時間労働の抑制
• コンプライアンス強化

といった多くのメリットも期待できます。

当事務所では、
• 勤怠分析
• シフト改善のアドバイス
• 就業規則の改定
• システム導入の相談
など、勤務間インターバル制度への対応をトータルでサポートしています。

「うちの会社は何から始めればいい?」「交代勤務が多くて対応できるのか不安…」

という場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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