法改正情報① 4週4休の変形休日制にメス!連続勤務の上限規制とは?
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
前回のブログでお話しした、2026年以降の労働基準法の大幅な見直しですが。
今回は「連続勤務(連勤)の上限規制」 について詳しくお話ししたいと思います。
そもそも「休みは週に1日必要なのでは?」
と思われる方も多いのですが、実は現在の法律には “連続で働いてよい最大日数” の明確な制限がありません。
これが、働き過ぎや健康障害の原因になると問題視されています。
現行制度のどこに問題があるのか?
労基法では「毎週1日以上の休日を与える」ことが原則ですが、例外として
4週間に4日休めばOK(=4週4休制)
という制度が認められています。
一見すると柔軟で便利な制度ですが、休日の配置を極端に偏らせると、実働が大きく連続してしまう危険が生じます。
■具体例:制度の“盲点”によって可能になる「48日連勤」
この制度が極端に運用されると、次のような勤務例が理論上成立します。
- 4週間のうち最初の4日(1〜4日)に休暇をまとめて取得
- 残りの24日間はすべて勤務
- 次の4週間に入っても、また冒頭に4日休みをまとめて取得
- その後の24日間はすべて勤務
この2つの期間をまたぐことで、
合計48日連続勤務が可能になる
という事態が生まれます。これはあくまで“理論上”ですが、制度上「違法ではない」のが現行ルールの弱点です。
休日数だけを見れば「4週に4日休んでいる」ので法律上は要件を満たしてしまうためです。
実際にここまで極端なケースはまれですが、制度の構造上、長期の連続勤務が起こり得る点が、専門家からも大きな問題として指摘されています。
改正の方向性:連続勤務は「最大14日」までに?
こういったリスクを踏まえ、現在の議論では
連続勤務は最大14日まで
(→15日目は必ず休業日とする)
という上限を設ける方向性が示されています。これは「休日を何日与えるか」ではなく、
“勤務が何日続いてよいか”に法律で線を引く
という新しい考え方です。
災害対応などやむを得ない事情では例外が認められる見込みですが、基本的にはあらゆる業種で適用されます。
企業側への影響は?
この改正が実現すると、企業は次のような見直しを行う必要が出てきます。
● シフト・勤務表の再設計
特に、医療・介護・物流・飲食・小売などのシフト制職場では、スタッフの連勤が長くなりがちなため、休日配置の調整が必須となります。
● 勤務ローテーションの組み直し
夜勤と日勤を組み合わせている職場では、
「夜勤明け → 明け休み → そのまま長期勤務」
という現行のパターンが再検討の対象になります。
● 勤怠管理システムの設定変更
14日を超える連勤を自動で検知する仕組みが必要になるでしょう。
● 就業規則・36協定の見直し
休日の付与方法や連続勤務に関する条項を、法改正に合わせて整備する必要があります。
労働者側にとってはどう変わる?
労働者にとっては、次のようなメリットが期待できます。
● 身体的・精神的負担が減る
長期間の連勤は疲労の蓄積につながり、心身の健康を大きく損ないます。14日上限が設けられれば、休息が必ず確保されます。
● ヒューマンエラーの減少
疲労はミスや事故の大きな原因です。医療現場や物流などでは、安全性の向上にもつながります。
● 私生活との両立がしやすくなる
連勤が長いほど、家庭の負担も増えがちです。一定の間隔で休みが取れることはQOLの向上にも寄与します。
まとめ:今後の動きに注目
連続勤務の上限規制は、働きすぎを防ぎ、健康を守るための新しい枠組みとして注目されています。
まだ最終決定ではありませんが、法案が提出・成立すれば、企業側には早めの準備が求められます。
当事務所では、
- 就業規則や36協定の見直し
- シフト作成のアドバイス
- 勤怠管理体制の整備
など、改正対応を幅広くサポートしております。
最新情報は引き続き発信してまいりますので、ぜひチェックしてください。


