その待遇差、説明できますか?同一労働同一賃金って何?

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

近年、多くの企業でキーワードになっている「同一労働同一賃金」。
働き方改革関連法の一部として導入され、正社員と非正規社員の不合理な待遇差をなくすことが目的とされています。

とはいえ、「難しそう…」「結局何をすれば良いの?」という声を経営者の方からよくいただきます。今回は「同一労働同一賃金」について実際の事例も交えながらお話ししたいと思います。

■同一労働同一賃金とは?

一言で言えば、“同じ業務に同じ責任で働く人には、雇用形態にかかわらず公平な処遇を行いましょう”
という考え方です。

ここで大切なのは「同じ仕事なら必ず同じ給料にしなければならない」という意味ではなく、待遇差に“合理的な理由があるかどうか” が問われるという点です。

たとえば、
• 正社員とパートで仕事内容がほぼ同じ
• 責任範囲や判断権限もほぼ同等
このような場合は、賃金や手当、福利厚生などに大きな差をつけると問題になる可能性があります。

■よくある企業の誤解

◎誤解①:非正規社員には手当はつけなくていい

正社員に支給している手当(通勤手当・皆勤手当・職務手当など)は、仕事の内容や必要性が同じであれば非正規社員にも支給が必要です。

◎誤解②:賞与は正社員だけで良い

賞与も「会社への貢献度」など合理的な基準が説明できなければ、非正規社員にも支給しなければならないケースがあります。

■中小企業で実際にあった事例

【事例1:通勤手当を支払っていなかったA社】

A社では、正社員には通勤手当を支給していましたが、パート社員には「時給に含まれている」というあいまいな理由で支給していませんでした。

しかし、業務内容はほぼ同じ。パートも毎日通勤しており、実費負担が発生しています。
この場合、合理的説明ができないため通勤手当の不支給は不適切。
結果的にA社は支給ルールを改定し、全社員に通勤手当を支給することになりました。

【事例2:職務手当に差をつけられなかったB社】

B社では正社員にのみ「職務手当」を1万円支給していましたが、業務内容はパート社員もほとんど同じ。
「正社員だから」という理由だけでは説明として不十分でした。

そこで、
• 「部下の指導責任」
• 「顧客対応の最終判断」
など、正社員特有の業務を明確化し、職務手当の支給基準を再設定することで問題を解消しました。

■企業が今すぐ取り組むべきポイント

①現状の待遇差を“見える化”する

正社員・パート・契約社員それぞれに
• 仕事内容
• 責任範囲
• 賃金・手当
• 福利厚生
を一覧表にすると、どこに差があるのか一目でわかります。

②その差に「合理的な理由」があるか確認

説明できない差はトラブルの原因です。
逆に、理由を文章化し、説明できるようにしておけば大きな安心につながります。

③就業規則や賃金規程を見直す

法改正に合わせて規程を更新していない企業は意外と多いもの。
不備があると指摘を受けたときに説明ができません。
専門家にチェックしてもらうと安心です。

■まとめ

同一労働同一賃金は「大企業だけの話」と思われがちですが、中小企業ほどトラブルを未然に防ぐための仕組みづくりが重要です。

待遇差を見える化し、合理的な説明ができるか確認するだけでも大きな改善になります。
自社の状況に不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
事業規模に合わせて最適な制度づくりをサポートいたします。

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