精神疾患による傷病手当金が7万件超え〜いま企業に求められる「メンタルヘルス対策」とは?〜

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)が公表した令和6年度の傷病手当金の給付状況によると、精神疾患を理由とした支給件数が7万339件となり、前年度より1万件以上増加したそうです。伸び率にすると +17.6% と大幅です。

傷病手当金は、病気やケガで働けなくなったときに収入を補う制度です。その中でも精神疾患による休職が急増しているという事実は、社会全体でメンタルヘルスの問題が深刻化していることを示しています。

今回は「精神疾患と傷病手当金」についてお話ししたいと思います。

■ 精神疾患の増加は「個人の問題」ではありません

精神疾患にかかると、短期間で職場復帰することが難しく、休職期間が長くなりがちです。給付金額の面でも、精神疾患が占める割合は 43.7% に達しています。

つまり、企業としても見過ごせないほどのインパクトを持つ課題になっているのです。

また、ここ数年の傾向として、女性の傷病手当金支給件数が男性を上回っている点も特徴です。家事・育児の負担、職場での役割の増加など、複合的な要因が影響していると考えられます。

■ なぜこんなに増えているのか?

精神疾患による休職が増えている背景には、以下のような要因が考えられます。

● 長期化しやすい精神疾患

精神的な不調は、治療に時間がかかりやすく、復職・再休職を繰り返すケースもあります。

● コロナ禍の影響とストレスの増加

コロナ禍が落ち着いた今も、社会環境の変化や働き方の変化に伴うストレスは残っています。

● 制度の認知度が高まり、利用が進んでいる

傷病手当金を活用して、無理せず休むという選択肢が広がったことも、件数増加の一因と考えられます。

■ 企業がいま取り組むべきこと

精神疾患による休職が増えることは、企業にとっても他人事ではありません。人員の欠員、業務量の偏り、採用コストの増加など、さまざまな負担が生じます。

では、どのような対策が求められるのでしょうか。

① メンタルヘルスに関する職場の風通しを良くする

上司と部下が相談しやすい環境づくりは、早期発見・早期対応に欠かせません。

② ストレスチェック後のフォローを強化する

年1回のストレスチェックだけで終わらせず、「高ストレス者への面談」「部署別の傾向の把握」など実効的な運用が重要です。

③ 休職・復職支援の体制を整える

就業規則や休職規程の明確化、主治医との連携、段階的な職場復帰など、制度面の整備が企業のリスクを大きく減らします。

④ 社会保険制度を正しく理解して運用する

傷病手当金の手続きはもちろん、休職者の社会保険料の扱い、労務管理の注意点など、正しい知識を持つことが不可欠です。

まとめ

精神疾患による休職者の増加は、企業の規模を問わず起こり得る現象です。

「うちの会社には関係ない」という考えでは、いざという時に対応が遅れてしまいます。

当事務所では

  • メンタルヘルス対策
  • 休職・復職支援制度の整備
  • 傷病手当金など社会保険手続き

をトータルでサポートしています。

「従業員のメンタル不調が増えている気がする」「休職・復職の手続きで困っている」このようなお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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