2026年度に「介護報酬の臨時改定」へ〜3年周期が“前倒し”される理由とは?〜
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
先日の新聞で「政府が2026年度に介護報酬を臨時改定する方針を固めた」という記事を目にしました。
本来なら次の改定は2027年度。ところが今回、3年サイクルを外れた異例の改定が行われるというのです。
「なぜ前倒しなの?」「何が変わるの?」
介護事業所の方はもちろん、ご家族・利用者の方にも気になるテーマだと思います。
そこで今回は、臨時改定が検討されている背景や、現時点で想定されている内容、事業所・利用者への影響などについてお話ししたいと思います。
■ なぜ臨時改定が必要なのか?
主な理由は次の3つです。
① 介護人材不足が深刻
採用難・離職増が続く中、他産業では賃上げが進み、介護職の給与だけが取り残されつつあります。政府も「処遇改善を報酬で裏付けるべき」と明確に方向性を示しています。
② 物価高・コスト増への対応
光熱費、人件費、ガソリン代、車両維持費など、事業所の運営コストは大幅に上昇。これでは事業運営が難しいという声が急増しており、早期の報酬見直しが必要と判断されています。
③ 業界団体からの強い要望
複数の介護関連団体が政府へ正式に要望書を提出し、2026年4月から期中改定を実施するよう強く求めている状況です。
■ どんな内容が想定されているのか?
まだ確定ではありませんが、議論の中心は次の通りです。
● 介護職員の賃金アップ(処遇改善の拡充)
処遇改善加算の見直しや対象拡大が検討されています。
● 基本報酬の引き上げ
物価上昇や経営圧迫に対応するため、単価そのものを上げる案もあります。
● サービスごとの差別化
特に人材確保が難しい訪問介護などに重点的に配分する考えも浮上しています。
■ 利用者や事業所への影響は?
● 利用者負担が増える可能性
報酬アップはメリットだけではなく、一定の条件では利用者の自己負担が増える場合もあります。
● 事業所は早めの準備が必要
期中改定は通常よりスケジュールが短く、
- 加算要件の確認
- システム改修
- 賃金制度や就業規則の見直し
など、対応が増える可能性があります。
■ 社労士としてお伝えしたいこと
今回の臨時改定は、介護職の処遇改善にとって大きな前進になる一方で、事業所側の事務負担は確実に増えます。
特に加算対応や賃金体系の整備は、経営課題と直結する重要テーマです。
当事務所では、
- 処遇改善加算の整備
- 賃金制度の設計
- 就業規則の改訂
- 助成金活用
などのサポートを行っております。
「自社がどの加算に対応できる?」「賃上げをどう制度に落とし込む?」といったご相談もお気軽にお寄せください。
今後も新しい情報が入り次第、ブログでわかりやすくお伝えしていきます。


