1日だけ働く時代到来!?“スポットワーク”ってどうなの?
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
近年、「単発バイト」「1日だけの仕事」といった短時間・短期間の働き方が注目されています。
その代表的なものが “スポットワーク”。アプリやマッチングサービスの普及により、働きたいときにすぐ働けるスタイルが広がっています。
一方で、「この働き方って法律的には大丈夫?」「労働保険はどうなるの?」など、仕組みがよく分からないという声もよく聞きます。
そこで今回は、スポットワークについてお話ししたいと思います。
■スポットワークとは?
スポットワークとは、1日単位・数時間単位で働ける超短期の仕事のこと。飲食店、物流、イベント、介護など、幅広い業種で導入が進んでいます。
最大の特徴は、“シフトを組む必要がない”こと。働く人はアプリで仕事を選び、企業は必要なときに人材を呼べるという、双方にメリットのある仕組みです。
■スポットワークは「労働者」?「業務委託」?
スポットワークで最も注意が必要なのは、働く人が労働者なのか、業務委託なのかという点です。
●労働者として働く場合
企業が指示し、勤務時間や業務内容の拘束がある場合、ほとんどが“労働契約”に該当します。
この場合は通常のアルバイトと同じで、
- 労働基準法の適用
- 時給制で働いた時間分の賃金を支払う
- 労災保険は必ず適用
といったルールが適用されます。
●業務委託として働く場合
一方、「自由に働き時間を選べる」「指揮命令がない」といった特性がある場合は業務委託となるケースもあります。しかし、実態として企業が細かく指示をしている場合、形式が業務委託でも、実質は労働者と判断される可能性があります。ここはトラブルの多いポイントなので、企業側も働く側も要注意です。
■スポットワークでも労災保険は適用される?
スポットワークが労働契約に基づく働き方であれば、当然ながら労災保険の対象です。1日だけ働いたとしても、業務中のケガは労災保険でカバーされます。企業側は、雇用したその瞬間から労災の補償責任が発生する点を理解しておく必要があります。
■雇用保険はどうなる?
雇用保険は原則「週20時間以上働く」「31日以上の雇用見込み」がある場合に加入します。そのため、スポットワークのみで働く人は雇用保険には加入しないケースが一般的です。ただし、同じ会社でスポットワークを繰り返し、結果として長期的に働く形になっている場合は、加入対象になる可能性があります。
■労務管理のポイント(企業側向け)
企業にとってスポットワークは便利ですが、適切な管理が必要です。
- 契約形態を明確にする(労働契約か、業務委託か)
- 労働時間を正確に把握する
- 賃金の支払いを確実に行う
- 労災保険の手続きは必須
特に契約形態の誤りは後々トラブルにつながるため、慎重な判断が求められます。
■働く側の注意点
スポットワークは自由度が高い働き方ですが、以下の点に注意しましょう。
- 契約が労働契約か委託契約か必ず確認する
- 実態として指示を受けるなら「労働者」としての権利がある
- 賃金の支払日・金額・労働条件を事前に確認する
アプリの表示だけで判断せず、契約内容をしっかり把握することが大切です。
■まとめ
スポットワークは、働き手のライフスタイルに寄り添う新しい働き方です。ただし、契約形態や労務管理を誤るとトラブルの火種にもなり得ます。
- 1日だけの仕事でも労働法は適用される
- 労災保険は必ず適用
- 契約形態の整理が重要
スポットワークの導入や契約内容での不安などお気軽に当事務所へご相談ください。


