“無期転換”ってなに?5年を超えた契約社員に訪れる転機
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
突然ですが「無期転換ルール」という言葉を聞いたことはありますか?
実は、雇用期間が5年を超えた契約社員には“無期雇用”を申し込む権利が発生するという制度なんです。
今日は、この「無期転換ルール」について、わかりやすくご説明します。
■ 無期転換ルールとは?
「無期転換ルール」は、平成25年(2013年)に施行された労働契約法第18条の制度です。
簡単にいうと、同じ会社で通算5年を超えて有期契約が繰り返された場合、労働者が希望すれば期間の定めのない契約に変えられる、というものです。
つまり、これまで「1年ごとの契約更新」で働いていた方でも、5年を超えて働けば「無期雇用(=契約期間に期限がない)」を申し込めるようになります。
この申し込みを受けた会社は、必ずこれを認めなければならないと法律で定められています。
■ 無期転換後はどうなるの?
「無期」といっても、「正社員になる」という意味ではありません。あくまで契約期間がなくなるだけで、
- 給与
- 勤務時間
- 職務内容
などは、もとの有期契約と同じ条件のまま継続するのが基本です。
ただし、会社が独自に「無期転換社員制度」を設けて、正社員登用の道を用意するケースもあります。制度設計によって、会社の柔軟な人材活用にもつながります。
■ なぜこの制度があるの?
有期契約が長く続くと、労働者にとって「次の契約も更新されるのかな?」という不安がつきまといます。この制度は、そうした雇用の不安定さを解消し、安心して働ける環境を整えるために作られました。企業にとっても、長く働く人材を安定的に確保できるというメリットがあります。
■ 会社が注意すべきポイント
事業主の方は、次の点に注意が必要です。
- 契約更新の管理をしっかり行う
→ 何年目かを把握していないと、気づかないうちに無期転換申込権が発生していた…ということも。 - 無期転換後の処遇ルールを明確にする
→ 社内規程(就業規則など)に「無期転換社員の取扱い」を定めておきましょう。 - トラブル防止のために説明を行う
→ 労働者にも「5年ルール」や申込方法をきちんと周知しておくことが大切です。
■ まとめ
「無期転換ルール」は、働く人に安心を与えるだけでなく、企業にとっても人材定着を促すチャンスです。しかし、運用を誤るとトラブルにつながることもあります。
「うちの会社の契約管理は大丈夫?」「無期転換社員の就業規則を整えたい」そんな時は、お気軽ににご相談ください。制度設計から書類作成、社員説明まで、会社に合った方法でサポートいたします。


