夜勤1回〇〇円!“夜勤手当”の金額設定
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
介護施設や病院、工場、警備業など、「夜勤」が欠かせない職場は多くあります。
そんな中で経営者の方からよくいただく質問が、「夜勤手当っていくらにすればいいの?」というもの。
法律では「深夜割増25%以上」と定められていますが、実際の支給額は会社によってさまざまです。
今回は、夜勤手当の金額設定の考え方についてお話ししたいと思います。
■ まず知っておきたい!「夜勤」と「深夜」の違い
「夜勤手当」という言葉はよく使われますが、労働基準法上の正式な言葉は「深夜労働の割増賃金」です。
労働基準法では、
➡ 午後10時〜翌朝5時 の時間帯を「深夜」と定義し、その時間に働いた場合は通常の賃金の25%以上を割増して支払うことが義務づけられています。つまり、「夜勤手当の金額設定」は、この25%割増が最低ラインとなります。
■ 法律上の最低基準を計算してみよう
たとえば、基本時給が1,200円の従業員が午後10時〜翌5時まで働いた場合、
深夜時間帯7時間のうち、割増部分は以下のとおりです。
1,200円 × 1.25 = 1,500円/時
この場合、夜勤中の賃金は1時間あたり300円多く支払う必要があります。
これが法律で定められた最低限の「夜勤手当」です。
■ 実際の企業はどう設定している?
実際には、法定の25%割増だけでなく、会社独自の「夜勤手当(定額)」を上乗せしているケースも多く見られます。
たとえば、
- 1回の夜勤につき3,000円〜7,000円の定額支給
- 深夜帯の勤務1時間につき300円を追加支給
- 「夜勤手当+深夜割増」の2段階で支払う
など、職種や勤務形態に応じてさまざまな方法があります。特に介護・医療・製造業などでは、夜勤の負担を考慮して
「割増25%+定額夜勤手当」という形を採用する企業が多いです。
また、ある会社では夜勤1回5,500円だったのを、「夜食代として」ということで500円アップの6,000円にした事例もあります。
■ 夜勤手当を決めるときのポイント
- 法律の基準(25%割増)を下回らないこと
→ これは最低限のルールです。超えればOK、下回ればNGです。 - 業種・勤務の負担を考慮すること
→ 夜間勤務は体への負担も大きく、離職リスクもあります。
「働き続けやすい手当設定」も人材確保の鍵です。 - 就業規則や給与規程に明記すること
→ 「支給額」「支給条件」「回数の定義」を文書で明確にしておきましょう。
トラブル防止になります。
■ 夜勤手当は“コスト”ではなく“安心の投資”
夜勤は、体力的にも精神的にも大変な勤務です。だからこそ、夜勤手当の設定には「働く人を大切にする姿勢」が表れます。
少しの上乗せでも「この会社はきちんと評価してくれている」と感じる社員が増え、結果的に定着率の向上や採用力の強化につながることも珍しくありません。
■ まとめ
- 法律上の深夜割増は 25%以上が必須
- 会社独自の「夜勤手当」を上乗せしている企業も多い
- 金額設定は「働きやすさ」「人材定着」を意識するのがポイント
「夜勤手当をどのくらいに設定すべきか悩んでいる」「自社の支給方法が法律に合っているか確認したい」
そんなときは、ご相談ください。業種・勤務形態に合わせた最適な制度設計をサポートいたします。


