副業・兼業、会社はどう対応すべき?~時代に合わせた働き方を考える~
皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。
最近、「副業OKの会社が増えている」と耳にすることが多くなりました。
政府も「働き方改革」の一環として副業・兼業を推進しており、大企業だけでなく中小企業でも関心が高まっています。
とはいえ、実際に「うちの会社でも認めたほうがいいの?」「どこまで許可すべき?」と悩む経営者の方は少なくありません。
今回は、そんな「副業・兼業」についてお話ししたいと思います。
■ 副業・兼業とは?
「副業」「兼業」とは、本業の会社に勤めながら、他の仕事を行うことを指します。
たとえば以下のようなケースです。
- 会社員が休日にライターやデザイナーとして仕事をする
- 飲食店で働く従業員が、週末だけ家業の手伝いをする
- 会社員がネットショップを運営して収入を得る
このように、副業の形はさまざまです。最近では在宅ワークやオンライン業務の増加により、実践する人も増えています。
■ なぜ副業を認める企業が増えているのか?
背景には、人手不足と働き方の多様化があります。社員のスキルアップやモチベーション向上、離職防止にもつながるとして、国も企業に副業容認を促しています。
実際、「副業を通じて得た経験が本業に活かせた」という好例も少なくありません。例えば、ある営業社員が副業でSNS運用を行い、そのスキルを本業のマーケティングに応用した――という事例もあります。
■ 会社が注意すべきポイント
副業を認めることにはメリットがある一方、いくつかのリスクにも注意が必要です。
- 労働時間の管理
複数の職場で働く場合、すべての勤務時間を通算して「週40時間以内」に収める必要があります。
たとえば本業で1日8時間働き、副業でさらに4時間働くと、労働基準法上の残業になる可能性があります。 - 情報漏えいのリスク
同業他社での副業や、会社の情報を持ち出して副業に活かす行為はトラブルの元です。
就業規則で「競業禁止」や「守秘義務」を明確にしておくことが大切です。 - 労災の扱い
副業中のケガは、原則として副業先の労災保険が適用されます。
ただし、労働時間の通算や通勤災害など、ケースによって判断が分かれることもあります。
■ どうやって会社のルールを決める?
副業を認める場合は、まず**就業規則に「副業・兼業に関する規定」**を整備することが重要です。
「原則禁止」「申請すれば許可」「一定の条件下で自由」など、会社の方針を明確にしておくことで、後のトラブルを防げます。また、従業員にも「どんな仕事ならOKなのか」「会社に申告が必要なのか」を具体的に説明することが大切です。
■ まとめ:時代に合った柔軟な対応を
副業・兼業は、社員の成長を促し、企業にも新しい価値をもたらす可能性があります。一方で、ルールが曖昧なままだとトラブルにもつながりかねません。会社としての考え方を整理し、就業規則や運用体制を整えることが成功のカギです。
当事務所では、会社の実情に合わせた「副業・兼業規定」の導入サポートや、労務管理のご相談も承っています。「副業を認めたいけど不安がある」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。


