有給休暇の「買取り」はできるの?知っておきたい基本ルール

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

「有給休暇がたくさん残っているけど、使いきれない。買取ってもらえないの?」

そんなご相談をよくいただきます。今回は「有給休暇の買取り」についてお話ししたいと思います。

有給休暇は「休むための権利」

まず大切なのは、有給休暇はお金に換えるためではなく、心身を休めるための権利だということです。労働基準法では、一定の勤続年数を満たした労働者に、毎年決まった日数の有給休暇を与えるよう会社に義務づけています。

したがって、原則として会社が有給休暇を買い取ることはできません。働いた分の賃金とは別の性質を持っているからです。

原則は禁止。でも「例外」はあります

ただし、例外的に買取りが認められるケースが存在します。

  1. 退職時に残った有給休暇
     退職日までに有給休暇をすべて消化できない場合、会社が残日数分を買い取るケースがあります。法律上の義務ではありませんが、実務上よく行われています。
  2. 法律を超えて与えられた有給休暇
     法定日数(10日〜20日)を超えて会社が独自に付与している「上乗せ有給」については、会社の判断で買取り可能です。
  3. 時効で消滅する前の有給休暇
     有給休暇の権利は、発生日から2年で時効により消滅します。取得しないまま権利が消えるのはもったいないため、会社が時効直前に買取ることもあります。これも法律上義務ではありませんが、福利厚生の一環として行う企業もあります。

注意したいポイント

・「忙しいからお金で払う」で済ませるのはNG

 会社が一方的に買取りで対応することは、労働基準法違反になるおそれがあります。

・買取りの条件は就業規則で明確に

 退職時や時効前の買取りを行う場合は、社内ルールを整備しておくことが大切です。

まとめ

有給休暇の買取りは、原則禁止。ただし退職時・法定外部分・時効消滅前に限り可能というのが基本ルールです。

有給休暇の買取りは、運用を誤ると法違反になることもあります。まずは有給休暇を使いやすい職場環境づくりを考えていきましょう。

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