トラブルを防ぐ第一歩!「雇用契約書」の重要性

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

採用のご相談を受けていると、「うちは口頭で条件を伝えているだけ」「雇用契約書って形式的なものですよね?」というお話を耳にします。

しかし、実はこの“雇用契約書”こそが、労使トラブルを防ぐための最も基本で、最も重要な書類なのです。

■ 雇用契約書とは?

雇用契約書とは、会社と従業員の間で「どのような条件で働くか」を取り決める契約書です。

労働基準法では、会社が労働者を雇う際に、労働条件を明示する義務が定められています。

特に次の項目は、書面または電子での明示が義務付けられています。

  • 契約期間(有期・無期の別)
  • 就業の場所・業務の内容
  • 始業・終業時刻、休憩時間、休日・休暇
  • 賃金の決定・支払い方法・締め日・支払日
  • 退職に関する事項(解雇を含む)

これらがあいまいなまま働き始めると、後から「言った・言わない」「そんな条件は聞いていない」といったトラブルに発展しかねません。

■ よくあるトラブル事例

たとえば、ある会社では、アルバイト採用時に「週3日勤務」と口頭で伝えていましたが、実際には繁忙期に「週5日入ってほしい」と要請。

従業員は「そんな話は聞いていない」と反発し、最終的に退職・労基署相談に発展しました。

このようなケースでは、雇用契約書に勤務日数や労働時間が明記されていれば防げたトラブルです。

また、給与形態(時給・月給)や試用期間の扱いなども曖昧だと、支払いや評価をめぐる誤解が生まれやすくなります。

■ 雇用契約書を結ぶメリット

雇用契約書を交わすことは、会社を守るためでもあります。

明確な労働条件を提示することで、後からの主張や誤解を防ぎ、信頼関係の土台をつくることができます。

また、雇用契約書をきちんと整備しておくことで、助成金申請や労働保険・社会保険の手続き時にもスムーズに対応することができます。

最近では電子契約の活用も広がっており、紙のやり取りを減らして効率的に管理する企業も増えています。

■ 作成のポイント

雇用契約書を作成する際のポイントは次の3つです。

  1. 就業規則との整合性を保つこと
     契約書の内容が就業規則と異なると、どちらが優先かで混乱を招きます。
  2. 更新や変更時は必ず書面で交わすこと
     契約更新や昇給・配置転換など、条件が変わるときも必ず書面で取り交わしましょう。
  3. 雇用形態に応じて内容を変えること
     正社員・契約社員・パートなど、雇用形態によって明記すべき内容は異なります。

■ まとめ

雇用契約書は、「形式的な書類」ではなく、「安心して働ける職場づくりの出発点」です。

会社にとっても従業員にとっても、トラブルを未然に防ぐための大切なツールです。

「うちの契約書、昔のままになっているかも」「パートさんの分まで必要?」など、気になる点がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

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