労務管理の観点から見た「交通費」

皆様こんにちは。社会保険労務士の岩竹です。

今回は「交通費」についてお話しします。

従業員への「交通費」は、今となってはどの企業でも当たり前に支給されている手当の一つです。

しかし、実務の中では支給基準やルールがあいまいなまま運用され、トラブルにつながるケースも少なくありません。今回は「交通費」について労務面での注意点を中心に見ていきましょう。

まず、交通費は労働条件の一部として扱われます。支給の有無や金額、算定方法などを就業規則や給与規程に明記しておくことが重要です。たとえば「合理的な経路による距離で支給する」「上限額は○○○円とする」など、ルールを明確にしておくことで、不公平感や申請トラブルを防げます。

実際にあった事例として、ある企業では、従業員が引っ越しによって通勤経路が変わったにもかかわらず、以前の定期代のまま支給を続けていたことが発覚。会社側も確認体制を整えていなかったため、過払いが長期間続いていたのです。このような事態を防ぐためには、通勤経路や交通手段を定期的に申告してもらう仕組みが有効です。

また、リモートワークや時差出勤の導入が進む中、「出社した日だけ交通費を支給する」制度を設ける企業も増えています。この場合は、どのように申請・承認を行うか、上司の確認フローを明確にすることがポイントです。

交通費は小さな手当のように見えて、勤怠管理・人件費管理・公平性の確保といった労務の根幹に大きく関わってきます。制度を形だけでなく、運用まで見直すことで、社員の会社に対する信頼を得られるでしょう。

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